南アで先生をする人のブログ(因島編)

JICA海外協力隊。南アフリカ共和国で小学校の先生をしています。

2週間経って 雑感メモ

この2週間は「慣れる」「とにかく見てみる」が目標でした。割と達成できたのかなと思います。

慣れた(慣れてもらった)結果、同僚の先生たちからsiSwati name をもらいました。Sifiso Nkomane です。Sifisoの意味はHopeらしいです。たいそれた名前をいただいてしまった……!! 期待に応えるためにも、空回りしないよう焦らずやっていきます。Nkomaneは語学の先生でもある同僚のファミリーネームです。これまたありがたい。

子どもたちも少し慣れてくれたようで、名前を呼んでくれたりこの地域の挨拶(握手の後親指を合わせる)をしてくれたりします。

 

「とにかく見てみる」の結果ですが、割といろいろなことがカルチャーショックでした。今日はそのあたりを書いていこうと思います。単純に良い悪いではなく、気になったことのメモとして。

 

①子どもと大人の力関係

日本と比べて大人と子どもの間には何か絶対的な力関係が見えます。特徴としては大人の身の回りのことを子どもにさせます。

事例1:同僚と軽食を取っていた時。同僚が目の前を通った児童に「このお弁当の容器、水道で洗ってきて。」と声をかける。

事例2:授業中。教師が児童に「このお金で水を買ってきて」と遣う。水は校門を出た先の個人商店まで行かないと買えない。

事例3:授業中。教室に入ってきた教師が「その机を一つ外に運び出しなさい」と指示。何に使うのかと見てみると外で自分が丸付けの作業をするためだった。

どの事例も日本の小学校で働いていた自分からするとなかなかの衝撃でした。ちなみに事例3に関しては写真があります。

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よくみると一箇所だけ机がないですね。机がない女の子は近くの友達の机の隅を借りて授業を受けていました。

この特徴、教師と児童だからではなさそうです。来校された保護者とその児童や、大家さん親子の関係を見ていてもそうでした。まだまだ時間をかけないと良く理解できなそうです。

 

 

②掃除の謎

1週目の金曜日、初めての掃除の時間を見ていて気になったのは「女の子しか」そうじをしていないということでした。

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床を拭くための水汲みをしているのは女の子だけですね。その奥で男の子たちは何かお喋りをしています。前回の記事に掃除の写真もあげましたが、こちらも女の子だけ。どの教室もそうでした。

southafrica-ed-record.hatenadiary.com

ある先生に「どうして掃除をしているのは女の子だけなの」と聞くと、少し言葉に詰まった後に「男の子も掃除をするよ」と答えていました。1週目は全教室を回って男の子が掃除をしている姿は見つけられませんでした。ただ、2週目の時にはひとつの教室だけ、男の子も一緒に掃除をしている教室がありました。うーむ。

これに関しても引き続きよく見て知っていく必要がありそうです。

 

③授業中の様子

4〜7年生を見た限り算数の授業は基本 

宿題の答え合わせ→内容の説明→テキストの問題演習を各自進める

という感じです。説明は一生懸命している先生が多いのだけど、演習の時間になって少し経つと教室から出て行ってしまう先生が多いです。長い時にはそのまま10分以上帰ってこないことも。授業間に日本のような休憩時間(学習準備時間)がないのも理由の一つかなあなんて。

もう一つ。授業中に電話がかかってくると普通に出ます。同僚の先生が教室の前を通ると挨拶してそのまま話し込むことも。

最後に。ガムを噛みながら授業をしている先生もいました。これまたカルチャーショック。

 

④間違いを笑う

6年生の算数にサポートで入っていた時。ある児童が答えを間違えました。その瞬間クラスは爆笑。普段はそんなことはないので多分その児童がちょっと面白いような間違え方をしたのだと思う(スワジ語なのでわからない)。「相手がどう感じるか」みたいな感覚や考え方があまりないのかな、と見ていて気になった出来事でした。

 

体罰について

初日の出来事。クラス分けで先生が指示をした教室とは違う方にわざと向かう児童がいた時、担当の先生は割とキツめにその児童の頭を叩いていました。「噂に聞いていた通り、アフリカには体罰があるんだ」なんて思いながらその光景を見ていました。

翌週、別な先生とお喋りしているときに体罰について話を振ると、「南アでは体罰は禁止されている。でも児童が言うことを聞かないと体罰で言うことを聞かせようとする先生はまだまだいる。」とのことでした。その先生は同時に「日本ではどうやって体罰をしないで指導しているの」と聞いてもくれました。2年かけて「体罰を使わない指導」も伝えたいなと思った瞬間です。

 

 

今までの自分の価値観と違うものに出会いビックリした2週間でした。とはいえここでは自分がマイノリティで、上の5つのような価値観が(おそらく)彼らの当たり前です。否定するのではなく、まずはもっとよく見て理解していこうと思います。その上で段々と自分の考えや価値観を伝えていければ、何かいい変化があるかもしれないなーなんて。それが日本から自分がわざわざきた意味の一つでもあるのかなーなんて。

 

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 ウチに住んでいる鶏、どうやら雛が生まれたようです。ピヨピヨ言ってってかわいい。