南アで先生をする人のブログ(因島編)

JICA海外協力隊。南アフリカ共和国で小学校の先生をしています。

隊員報告会・先輩隊員たち

コロナ、かなり大変な状況になっていますね。

日本の状況をネットニュースやSNSで確認していると、苦労したり悲しんだり悔しがったりしている声をたくさん聞きます。実際に日本にいるわけではないので雰囲気や空気感はわからないのですが、とにかく早く事態が収まることを祈るばかりです。

一方でチラホラと素敵なニュースも聞こえてきます。各専門家や学校の先生たちが自宅で困っている子供達向けに動画や授業を公開したり、自身のマスクやトイレットペーパーを他人に譲る人がいたり。テレワークや時差出勤も進んでいるようですね。「禍を転じて福となす」ではないですが、事態が収束したときに何か発見や学びや変化があるといいなとも思います。

こちらに関しては、5日に国内で1人目の感染者が出ました。また武漢に住んでいた南ア人199人のうちの132人が今後国内に退避するようです。南アはマスクをする文化がないので少し心配ですが、普段通り衛生面健康面に気をつけてできることをしていきます。

 

さて本題!

先週はプレトリアにて「隊員報告会」が行われました。

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任地からプレトリアまでは長距離バスで移動します。バスは二階建て。荷物を入れる場所が少ないので後ろに荷物用のコンテナを連結しています。過去にバスでロスバゲ(荷物がなくなること)した先輩隊員もいたと聞いているのでちょっと心配だったけど問題なかったです。安定の?1時間遅れで出発し、7時間ほどかけてプレトリアに着きました。移動大変。

 

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報告会の様子です。国によって報告会の様子は多少違いがあるようですが、うちは隊員数が少ないので基本全員参加です。隣国レソトエスワティニの隊員も合同で、10人ちょっとでの会でした。中間報告者が2人最終報告者は2人、特別講義1人、どの方も想像していた何倍も素晴らしい活動報告で(お世辞ではなく本当に)、「すごい」意外の感想が最初は出ませんでした。任地で1人活動しているだけではどうしても視野が狭くなってきてしまうので、先輩隊員たちの報告は刺激になりました。教育系の人が多かったこともあり比較もしやすかったです。

 

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今回は計約3日間一緒に過ごしたわけだけど、ほぼ毎晩みんなでご飯を食べました。報告会のような公式の場もとても勉強になったのだけど、こういう砕けた場でざっくばらんに真面目な話ができたのが今回一番の収穫だったな。先輩隊員たちもみんな悩んだり落ち込んだりという波を越えながら活動しているって知ることができて安心したし励みになりました。今の自分に必要な助言や言葉もたくさんいただいたので、忘れずにコツコツ毎日を積み重ねようと思います。

 

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今回嬉しかったことの一つは食事。日本食美味しすぎる。3日間で日本、韓国、中国とアジアンフード食べ尽くしました。写真撮ってないけどサムゲタンが絶品だった。

食べながら日本語でたっぷり話ができるのも最高でした。ノンストレス。相手が話している内容がしっかり理解できるし、細かなニュアンスまで伝えられるし。母国語強い。スワジ語やら英語やらで普段いかに不自由しているのかを改めて実感しました。と同時に語学の問題は活動の質に直結するし、自分のストレスにもなるし、相手のストレスにもなるし…頑張らなければいけないなと反省する機会にもなりました。

 

おまけ写真。活動の合間を縫って何人かでプレトリア動物園に行きました。

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ブラックマンバという毒ヘビ。世界最強の毒ヘビでうちの近所にも生息しているそうです。全然知らなかった。見た目は可愛いのにね。以後気を付けます。

 

ごはんの様子

普段何食べてるの、と聞かれることがちょこちょこあるので今日はご飯の様子を紹介しようと思います。

 

まず初めに言っておくと、基本「自炊」です。そして自炊の主食は「米」です。あまり面白くなくてすみません。とはいえ炊飯器はないので、鍋で炊いています。

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これは初めて炊いた時の写真。予想よりも上手にできたことに感動して思わず撮ってしまった。ありがとう白ごはん.com。ご飯の出来がそのままQOLに直結するので、毎回蓋を開ける瞬間はちょっとドキドキします。こちらのお米は基本タイ米っぽいパサパサ系ないのだけど、首都の韓国食品店で購入したカリフォルニア米を食べているので日本のものと大差ありません。おいしい。なんならふりかけも同時購入したのでたまに日本食が恋しくなったときにはふりかけご飯しています。ありがとう丸美屋

 

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これは近所でたまーに売っているニワトリ、の頭、です。あまり肉はついていないんだけど頬の部分が絶妙にジューシーで結構好きです。ひとつR3(=約23円)。となりの焼き鳥は砂肝です。確かR8(=約60円)。前にbraai についても書いたのだけど、南アは本当に肉食です。鶏、牛、豚、たまにラム。中でもニワトリは安くて新鮮、店によっては1羽丸々でR60(=約450円)くらいで売ってます。自炊のメインはほぼ鶏肉です。

 

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肉類は安くて新鮮なのだけど、魚類は本当に種類が少ないです。隣町の大型スーパーまで行っても3種類くらい。そのどれもが冷凍です。生では売っていません。まあ近くに海がないから仕方ないのかな。こちらはHake(ハゲ)という名前の魚。すごい名前だね。一番ポピュラーなものらしく、うちの近所だとHakeしか手に入りません。味は淡白だけど味がふっくらしていておいしい白身魚です。タラに近いかな。今のところ揚げ焼きにする以外の調理法が見つかっていません。 

 

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こちらはある日の朝食。こちらでできる最大限の優雅なセットです。土日は時間があるので朝起きて家事をした後に紅茶と共にゆっくり朝食をとってそのままブログを書いたり本を読んだりしています。贅沢。日本にいるときはこんな時間ほとんど作れなかったなあ。今日も似たようなの食べました。ちなみに南アはルイボスティーが有名で、美味しい紅茶がとっても安く飲めます。

 

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これはポポというフルーツ。家の前の木になっていたものなのでタダです。中のワタを取り除いて果肉を食べます。味は薄甘くてみずみずしいです、匂いは完熟しているとほんのり臭い。写真では伝わりづらいけどラグビーボールをひと回り小さくしたくらいの大きさがあるので一人で食べ切るのは大変。

 

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マスカット、500gでR19(=150円)です。もうお気づきかと思いますが、こちらはフルーツがとっても豊富、そして安くて美味しいです。グレープ、黄桃、プラムにネクタリン、マンゴーやバナナ、リンゴにラフランスなどなど。フルーツ大好きなのでこの点に関しては天国です。1日に2〜3種類は食べてます。

 

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最後に少し現地っぽいものということで、学校の給食を。私は普段お弁当を持参しているのだけど、調理員のおばちゃんたちとお喋りしながらたまにこういうのも食べます。白いのは前にも紹介した主食のパップ。ミリミリというとうもろこしの粉をお湯で練ったものです。最近わかってきたんだけど結構お店や家庭によって食感(よく練ってあってモチモチ、粗めで粉っぽい、水っぽくてまったりめなど)が違います。味は一緒でほんのり甘いです。この日は豆のスープと一緒に。初めて食べた時は「おお、これがアフリカのローカルな味か…!」と感動しました。多分調味料は塩だけ。素朴な味付けです。

 

ここまで2ヶ月半、体調も全く崩さずに来ています。多分満足のいく食事ができていることが大きな要因だと思う。停電や断水の件でもだけど、こっちに住んでみて衣食住を整えることの大切さを日々実感しております。ライフラインの不安が無いっていうことはすごくストレス軽減になる。

来週は隊員報告会があるため2ヶ月ぶりに首都に行きます。久しぶりにたくさんの人と不自由無く会話できると思うとそれだけでワクワク。たくさん学んで楽しんでこようと思います。多分次に記事を書くのは2週間後になると思いますがあしからず。

算数のこと

私の要請は現地教員の算数科指導力向上です。とはいえ着任してすぐにガンガンアドバイスを言うのも無理な話。まず大切なのは現場を知らなければ。ということで最近も基本的にはいろんな先生の授業を見まくっている毎日です。そこで今日はこれまでに気づいた算数に関する課題をざっくりまとめようと思います。

 

1 授業の形式

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基本的に授業はワークブックをひたすらやるという感じです。教科書はありません。残念ながら事前に一緒に解くことも説明することも無しに丸投げする先生もいます。当然自力で理解し課題をできる子はごく一部で、多くの子は理解せずに適当に書いたり諦めたりしています。宿題も同じで、説明なしに「次の見開き1ページが今日の宿題だよ。」というのが普通。

 

2 解説・説明時の課題

ワークブックを始める前に解説・説明する先生ももちろんいます。ただここに技術的な問題がいくつかあります。

①一方的に説明を話し続けるだけで、児童に問いかけたり考えさせたりする瞬間がない。流すだけ状態。 

②問題を解く「方法」の説明ばかりで、「意味」や「考え方」を押さえていない。 

③図や絵や具体物による理解補助がない。

大きくこの辺りが問題かなと思います。とにかく見ていると算数をしているというより作業をしているという感覚を覚えます。ワークブックの弊害だなあ。

※高学年になるにつれてこの課題がなっている感じ。1年生なんかは数の意味理解とかちゃんと授業している。

 

3 答え合わせ時の課題

多くの児童は意味理解をしていないままワークブックに取り組んでいるので、当然間違えまくり。だから答え合わせに時間がかかるかかる。先生は早く進めたいので正解が出るまで指し続けます。「みんなが間違えているから立ち止まって丁寧に解説しよう」という感覚はないみたいです。

 

4 評価の課題

 結論から言うと、評価が甘いので理解が不十分なままに進級してきている子がたくさんいます。知識理解の積み重ねがないから当然高学年になるほど苦しくなります(例えば6年生の分数の足し算をする際、そもそも割り算ができないから約分できないなど)。日本でもこういう状況は多々あると思うけど、南アの方がより深刻な感じ。

 

問題の評価方法はAssignment 50%,Test50%で、合計のうち40%以上で進級というもの。4割できていればいいって甘すぎないか……?? 実際のところはもっと大変で、4割以下の子でも進級することがあるようです。毎年新一年生は入ってくるからね、ずっと残し続けると低学年がパンクしてしまうそうです。

先週末、Assignmentの様子を見てびっくりしたのがこちら。

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なんと家でやってきた後に友達同士で相談し合いながら正しい答えを考えています。先生の補助もアリです。私もたくさん補助しました。「普段の授業でこういうの取り入れればいいのに」と思いつつ、「なぜ進級に関わるものを他人と相談して取り組ませているのか」と驚きつつ。けど同時に「こうでもしないと4割も取れないよなあ」とも思うのでした。

 

5 低学年の実態

低学年の先生は比較的丁寧に指導している人が多いのだけど、見ていて感じたのはペースが早すぎるなということ。これはおそらく先生ではなくワークブックの問題です。1年生が1、2、3の意味を習っていたと思ったら、翌日には足し算に入っていて、翌週の頭にはもう引き算をしていました。これでは定着は難しいよなあというのが正直な感想。

それと衝撃を受けて撮った写真がこちら。

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2年生、数字をカウントする問題です。こんなんじゃカウントできるわけないよなあ。子どもによっては意味もわからず適当に線を引くだけなのでこんな感じのノートの子もいました。

先生に◯でカウントした方が数えやすいのではと提案して数日後のノートがこちら。

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だいぶ見やすくなったね。とはいえ10の束を作れない子がほとんどなので、まだまだ先は長いです。

 

 

気づいた課題をざっとあげてみましたが、どれも解決のしがいがありそうなものばかりです。今のところは

1.実際に授業してモデルを見せる

2.ワークショップの開催

3.各先生の授業を参観しフィードバック

この辺りの活動をして行こうかなと思っています。先生たちの考えやプライドを尊重しつつ、何かいい変化を起こすことができればという感じです。日本式が全て絶対的に良いとも思い込まないようにしながら、この学校でのベストな形を見つけていくことができればと思います。軌道に乗ってきたら来年あたりからは他校や他地域にも何か広げる活動ができたらななんてこともぼんやりと。

 

こちらにきて2ヶ月ちょっと、10分の1が終わりました。これは思っていたよりも2年あっという間かもしれない。

写真は先日近所で発見した牛の頭の骨です。ツノが立派。

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ランニング大会

先週末、職場ではrunnning competitionがありました。

なんとなく字面から長距離を想像していたのだけど、実際は80m走とかもありました。最長で1500m。学年ではなく年齢別、男女も分けるあたりは日本と一緒。

水曜日には自校だけで選考会的なことをしたのだけど、走る会場がないことにその日の朝に気づき、その場で近所の中学校に電話をして校庭を借りていました。ざっくりしている感じがとてもいい。

 

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授業がないことが嬉しいらしく、子供たちはテンション高め。先生が大声で呼びかけているけどなかなか集まらず、そこらへんで買ってきたお菓子やアイスブロック(ジュースを凍らせたやつ、安くて美味しい)を食べるなどして自由な感じでした。日本の感覚でいくと「いやいや学級崩壊やん……」という感じですが、こちらでは当たり前らしく、先生もアイスブロック食べてました。私も食べました。暑いし。もう一つ驚いたのは子どもたちがコーンの替わりになっていること。確かにコーンなんて持ってないよな。暑い中立たされているのはちょっとかわいそうだった。

 

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金曜日が地域の学校対抗での本番でした。選考会の時にはなかったラインも引かれており、思ったよりもしっかりしていました。配色センス抜群。

子どもたちはペース配分というものを知らないらしく、1200mだろうと1500mだろうと最初全速力で走ります。もちろんペースキープはできず。ちょっとコツを教わればあっという間に記録伸びるんだろうなぁ。

 

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子どもたちは自分の学校の代表を全力で応援します。応援の手拍子が複雑でアフリカのリズムを感じました。また一つ驚きだったのが、他校の選手に対してブーイングをすること。日本ではあまり見かけないのでびっくりした。流石に一緒にブーイングする気持ちにはなれませんでした。ただ様子を眺めてなんとも言えない気持ちになっただけ。「それは違うと思う」と思った時に、まずは理由や考えを聞けると良い。そして押し付けではなく、自分の意見や気持ちを冷静に伝えられるといいなあ。

 

さて、本番は選考会以上にお祭り感が強く、みんな色々食べたり飲んだりしながら応援をしました。それはまあいいんだけど、ふと下を見ると

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ゴミがこんなに。うちのような田舎ではまだまだ道や床にゴミを捨てるのは当たり前の人が多いようです。選手が走るコースの方にも落ちていました。

これは別な日のことだけど、同僚に「どうしてゴミを外に捨てるの?」と聞いたら「生ゴミは牛やヤギや鶏の餌になるし、プラスチックゴミは集めるのを仕事にしている人たちがいるし。だから道に捨てるのは普通だよ。」と言っていました。うーむ衝撃。多分この言葉は本心で、彼女は「環境問題の観点からして〜〜」なんて考えたことはないのだろうと感じた。とはいえ学校はきれいに掃除しているので、「汚いことはよくない」という感覚はあるみたい。少なくともゴミ箱が近くにあればちゃんとそこに捨てている人が多い。

 

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大会が終わるとその日はおしまい。各自で家に帰ります。選手たちだけは学校に戻り、みんなでご褒美のケンタッキーを食べていました。費用は学校もちだそう。こういうのってなんかいいな。日本の学校だとなかなかできないけど。平等を間違えちゃいけないよね。

 

ところで2月に入ってからほぼ毎日停電しています。といっても計画停電なので基本的には2時間で復旧。最近同期の活動を見ていると3日間丸々停電したなんて話もちらほら。それに比べたらかわいいもんだなと言い聞かせて日々過ごしております。

停電すると真っ暗なので月や星が綺麗に見えます。日が暮れてから歩くのは危ないし怖いけど、敷地内で写真を撮ってみました。

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意外と撮れた。

次回は多分算数の授業について書きます。

2週間経って 雑感メモ

この2週間は「慣れる」「とにかく見てみる」が目標でした。割と達成できたのかなと思います。

慣れた(慣れてもらった)結果、同僚の先生たちからsiSwati name をもらいました。Sifiso Nkomane です。Sifisoの意味はHopeらしいです。たいそれた名前をいただいてしまった……!! 期待に応えるためにも、空回りしないよう焦らずやっていきます。Nkomaneは語学の先生でもある同僚のファミリーネームです。これまたありがたい。

子どもたちも少し慣れてくれたようで、名前を呼んでくれたりこの地域の挨拶(握手の後親指を合わせる)をしてくれたりします。

 

「とにかく見てみる」の結果ですが、割といろいろなことがカルチャーショックでした。今日はそのあたりを書いていこうと思います。単純に良い悪いではなく、気になったことのメモとして。

 

①子どもと大人の力関係

日本と比べて大人と子どもの間には何か絶対的な力関係が見えます。特徴としては大人の身の回りのことを子どもにさせます。

事例1:同僚と軽食を取っていた時。同僚が目の前を通った児童に「このお弁当の容器、水道で洗ってきて。」と声をかける。

事例2:授業中。教師が児童に「このお金で水を買ってきて」と遣う。水は校門を出た先の個人商店まで行かないと買えない。

事例3:授業中。教室に入ってきた教師が「その机を一つ外に運び出しなさい」と指示。何に使うのかと見てみると外で自分が丸付けの作業をするためだった。

どの事例も日本の小学校で働いていた自分からするとなかなかの衝撃でした。ちなみに事例3に関しては写真があります。

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よくみると一箇所だけ机がないですね。机がない女の子は近くの友達の机の隅を借りて授業を受けていました。

この特徴、教師と児童だからではなさそうです。来校された保護者とその児童や、大家さん親子の関係を見ていてもそうでした。まだまだ時間をかけないと良く理解できなそうです。

 

 

②掃除の謎

1週目の金曜日、初めての掃除の時間を見ていて気になったのは「女の子しか」そうじをしていないということでした。

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床を拭くための水汲みをしているのは女の子だけですね。その奥で男の子たちは何かお喋りをしています。前回の記事に掃除の写真もあげましたが、こちらも女の子だけ。どの教室もそうでした。

southafrica-ed-record.hatenadiary.com

ある先生に「どうして掃除をしているのは女の子だけなの」と聞くと、少し言葉に詰まった後に「男の子も掃除をするよ」と答えていました。1週目は全教室を回って男の子が掃除をしている姿は見つけられませんでした。ただ、2週目の時にはひとつの教室だけ、男の子も一緒に掃除をしている教室がありました。うーむ。

これに関しても引き続きよく見て知っていく必要がありそうです。

 

③授業中の様子

4〜7年生を見た限り算数の授業は基本 

宿題の答え合わせ→内容の説明→テキストの問題演習を各自進める

という感じです。説明は一生懸命している先生が多いのだけど、演習の時間になって少し経つと教室から出て行ってしまう先生が多いです。長い時にはそのまま10分以上帰ってこないことも。授業間に日本のような休憩時間(学習準備時間)がないのも理由の一つかなあなんて。

もう一つ。授業中に電話がかかってくると普通に出ます。同僚の先生が教室の前を通ると挨拶してそのまま話し込むことも。

最後に。ガムを噛みながら授業をしている先生もいました。これまたカルチャーショック。

 

④間違いを笑う

6年生の算数にサポートで入っていた時。ある児童が答えを間違えました。その瞬間クラスは爆笑。普段はそんなことはないので多分その児童がちょっと面白いような間違え方をしたのだと思う(スワジ語なのでわからない)。「相手がどう感じるか」みたいな感覚や考え方があまりないのかな、と見ていて気になった出来事でした。

 

体罰について

初日の出来事。クラス分けで先生が指示をした教室とは違う方にわざと向かう児童がいた時、担当の先生は割とキツめにその児童の頭を叩いていました。「噂に聞いていた通り、アフリカには体罰があるんだ」なんて思いながらその光景を見ていました。

翌週、別な先生とお喋りしているときに体罰について話を振ると、「南アでは体罰は禁止されている。でも児童が言うことを聞かないと体罰で言うことを聞かせようとする先生はまだまだいる。」とのことでした。その先生は同時に「日本ではどうやって体罰をしないで指導しているの」と聞いてもくれました。2年かけて「体罰を使わない指導」も伝えたいなと思った瞬間です。

 

 

今までの自分の価値観と違うものに出会いビックリした2週間でした。とはいえここでは自分がマイノリティで、上の5つのような価値観が(おそらく)彼らの当たり前です。否定するのではなく、まずはもっとよく見て理解していこうと思います。その上で段々と自分の考えや価値観を伝えていければ、何かいい変化があるかもしれないなーなんて。それが日本から自分がわざわざきた意味の一つでもあるのかなーなんて。

 

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 ウチに住んでいる鶏、どうやら雛が生まれたようです。ピヨピヨ言ってってかわいい。

 

 

 

ついに活動開始!

ついに!活動が!開始しました!

任地に来てから一ヶ月、語学訓練以外さしてする事もなくだらだらと毎日を過ごしていたのですが、先週からようやっと学校が開き、活動が開始しました。とっても楽しいのだけど結構疲れました。何事も慣れるまではエネルギー使うね。

 

活動先はMzintiという地域内にある3つの小学校(Magcekeni,Mzinti,Kobi)です。先週からはMagcekeniにお世話になっています。この学校は三校の中で断トツで生徒数が多く(1000人超え!)、学力も教師の質も一番高いそう(ここの教務主任曰く)。確かに思っていた以上に色々と質が高いなと感じつつ、一方でたくさんの課題も見えてきました。課題、疑問、授業の改善できる点などについても詳しく書きたいのだけど、それはまた別の機会に。

今日はひとまず学校の様子や素敵なところを紹介します。

 

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訪問初日、先生たちと撮った写真。本当にみんないい人で、すぐに受け入れてくれてくれました。事あるごとに名前を読んでくれたり挨拶してくれたりするのでとってもうれしい。右側の男性が校長先生、一番右の女性が15日間スワジ語を教えてくれた先生で、この学校の教務主任です。学校には全部で34人の先生がいます。児童数が1000人なのを考えるとちょっと少ないかな。

 

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毎朝こうして朝会をします。時間は7:20くらいから。ざっくりしてます。授業は7:45〜14:00まで。こちらもざっくり。初めて参加して驚いたのだけど、写真の通りみんな整列してます。アフリカの子どもたちって並ぶという概念がないのかと思ってたんだけど、そんなことはないんだね。集まった後はみんなで賛美歌を歌ってお祈りをします。賛美歌には必ずリードボーカルの人がいるんだけど、朝会では高学年の児童がそれをします。そのあと連絡事項があって解散。授業が始まります。

 

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これは新学期初日、新しいクラスに入る時の写真。なんと先生が「君はA、君はB」と交互に振り分けていきます。男女の比率だけは気にしているみたい。でもものすごいざっくりしたクラス分け。日本のように事前にクラス編成なんてことはしません。その後児童は自分たちで新しい机と椅子を倉庫から持ってきてクラスを作ります。

 

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こちらは教室の様子。5年生です。なんと1クラスに80人の児童がいます。恐ろしい。算数の授業中ですが、児童が前に出てきて答えを書いています。こういうちょっとした工夫もしているところを見ると、レベルが高いなあと思います。教科書は無く、テキストブックを使いながら学習します。先生の説明→演習 という流れ。ちなみに南アの学校は年度末に試験があり、それに合格しないと進級できません。だから5年生と言ってもいろんな歳の子がいます。

 

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校区内にはキッチンもあります。ここでパップや簡単な料理を作り、ご飯を持ってきていない児童に食べさせます。政府から材料が支給されるので無料です。経済的な理由から子どもに十分に食べさせることができない家庭も多いとのこと。学校のスタートが日本より早いのは朝食を食べてきていない子どもに少しでも早くご飯を食べさせるというねらいがあるそうです。軽食を食べるbreak timeは9:20〜10:05(もちろんこれもザックリ)。

 

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breakt time には近所のお母さんがお店を開きます。お金のある子たちはこちらで好きなものを買って食べます。なんとアイスも売っていてちょっとビックリ。それ以外にも自宅からお弁当を持ってきている子など様子は様々。私は今のところ自宅からフルーツやら簡単なパスタやらを持っていっています。今度この購買も使ってみよう。

 

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金曜日は12:20から掃除の時間です。これが終わると一週間が終わり。これまた偏見でアフリカに掃除の文化はないものだと思っていました。話を聞いてみると掃除を児童がするかどうかは各地域の教育事務所に寄るみたい。モップと洗剤、最後には磨き剤まで使って丁寧に掃除をします。Magcekeniは掃除に力を入れているようで、校長室には掃除に関するトロフィーも飾ってありました。きれいな環境で学ぶ事ってとっても大切。1、2年生の教室は6、7年生が代わりに掃除をしていました。

 

 

最初にも言ったけど、思っていた以上に様々なもの・ことが整っていて驚きました。アフリカのイメージひっくり返った。百聞は一見に如かずとはまさにこのことだなぁと実感。

最近は先生たちからは毎日大量のスワジ語を浴びせられています。何言っているかほとんど分からないので脳みそが疲れます。けどちょっとわかる単語を拾ったり、わからなかったのを聞いてみたりしてなんとかやっております。会話が成立するとみんなめちゃくちゃ喜んでくれれるので私もうれしいです。

子どもたちはいつもすごい遠巻きにアジア人を観察しています。田舎だから白人ですら見たことがない子も大勢いるみたい。けど金曜日くらいには徐々に声をかけてくれる子も出てきたのでちょっとうれしい。

 

職場は刺激的でとっても楽しいです。慣れない環境で疲れも溜まってくるはずなので、あまり無理せず健康第一でやっていこうと思います。次回は多分疑問や課題編。

スワジ語について

協力隊参加者は普通二度の語学訓練を受けます。

一度目が国内で行う70日間の派遣前訓練

二度目が任国で行う15日間の現地語学訓練です。

 

派遣前訓練では英語を、現地語学訓練ではスワジ語を勉強しました。先日無事に?現地語学訓練が終了したので、今日はスワジ語とその周辺のことについて書きます。

 

そもそも南アフリカは世界で一番公用語の多い国です。11の言語が公用語として認められています。英語、アフリカーンス語、そして各地域ごとで使用されるバントゥー諸言語(スワジ、ズールー、コサ、ベンダ、ンデベレ、ツワナなど)です。各部族の言語や伝統を大切にするという方針から全ての言語が公用語として認められているそう。小学校ではgrade R~grade3までは現地語、その後は英語で学習が進みます。子どもたち器用。先生が言うには地理的に離れている言語同士は似ていない部分も多いようで、そういう場合には英語で会話をするそうです。

スワジ語は現地ではsiSwatiと呼ばれています。本当に一部地域でしか使われていません。推定話者数は150万人で、隣国エスワティニでも使われているそう。詳しくはwikipediaをご参照ください。

ja.wikipedia.org

 

では早速少しだけ見てもらいたいと思います。

 

 

Sanibonani Ninjani, ligama lami Ryo.

Ngibuya e Japani ngilivolontiya.

Ngihlala Kamhlushwa  dvute naka Mubi inyanga lelitago.

Ngisebenta e Magcekeni, ngingu thishela wetibalo.

Ngikhuluma kancani siSwati, ngiyazama ngisafundza.

Ngiyajabula kubanani. Ngiyabonga.

 

訳はこんな感じ

皆さんこんにちは、元気ですか?私の名前はりょうです。

日本からボランティアとしてきました。

KamhlushwaのMubiさんちの隣に一ヶ月前から住んでいます。

仕事はMagcekeni小学校で算数の先生をしています。

私は少しだけsiSwati語を話すことができますが、学んでいる最中です。

皆さんと会えてとてもうれしいです。ありがとう。

 

 

15日間の成果を頑張って出してみました。割とこれが限界です。これは2日目くらいのノート。当たりまえだけど英語でスワジ語をやってます。

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スワジ語はもちろん日本語や英語とは全然違うのだけど、いくつか特徴を挙げると

 

①特殊な発音!

全く聞いたことがない発音が大きく2種類あります。

hl→前歯の裏に舌先を当てて押し付ける。左右の隙間から息を漏らしながら発音

c→hlの状態から舌先を強く離して音にする。舌打ちしながら発音する感じ

この二種類に母音をつけて発音します。あとはk→gになります。なんとそれ以外は基本ローマ字読み!とってもわかりやすいね(多少違っても外国人だからみんな気にしないし、大らかさも語学には大切)。

 

②Nから始まる言葉多い!

しりとりが強くなります。ngiyabonga→thank you, ngilambileya→hungryなど

実はそもそも英語のIがngiなので、会話の中ではよくンを聞くことになります。けどそんなに強く発音しないです。

 

③文法がざっくりしてる!

スワジ語にはややこしい文法はありません。女性名詞男性名詞もないし、現在形と現在進行形の違いもありません。わからないけど多分完了形もありません。

 

④前置詞が謎!

例えばnext to は dvute naka だけど、go toは kuhamba ngiye となる。to めちゃくちゃ変わるやんって感じ。しかもkuya だけで go to も意味もあるらしい。どういうこっちゃ。法則性が全く不明です。これはおおらか文法ゆえの弊害か。先生に聞いても「ん〜まあそういうものなんだよね」と言ってました。

 

とっても素敵な言語ですね、スワジ語。

 

任地に着いてすぐの頃は聞いたこともない言語が飛び交っていて結構怖かったんだけど、今では「ちょっと知っている言葉」になりました。今はもう怖くありません(何言っているかわからないことがほとんどだけど)。分かるとか知っているってこんなにも安心感があるものなのかと再認識。

正直まだ赤ちゃんレベルで会話も覚束ないんだけど、近所の人にスワジ後で挨拶するとみんな笑顔になるのがすごく嬉しいです。「お、話せるの!仲間じゃん!」って喜んでくれる人も。これから少しずつでも新しい言葉を覚えて、もっとみんなと仲良くなれれば良いなと思います。

 

おまけ写真は近所を散歩していて見つけた巨大サボテンです。

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今日の内容とは全然関係ない。サボテンの蕾ってカラフルできれいだね。